重箱/赤坂
今日(18年2月28日)は、赤坂の重箱に行ってきました!
このお店を知ったのは、東京いい店やれる店(153p,1994年8月,ホイチョイプロダクションズ, 小学館)の一節。「地球最後の日の前の晩に何を食べたいか」の回答例として紹介されていたのが「重箱の白焼」です。(やれる店としての紹介ではないので念のため)当時10代の少年には敷居が高く、腹の出たおじさんとなっての初訪問。都合24年越しです。
お店には会社から徒歩で行きましたが、違和感しかありません。
オフィスから非日常まで徒歩で着いてしまった違和感。
たぶん、黒塗りの車の後部座席から運転手に「重箱まで」と言える方々の場所です。
興味本位でお店に行って、写真を撮って、ブログを書くような人種ではない。
お店の玄関では正座でむかえられます(表の門をくぐったときにはスタンバイしているはずです)。そして汚い靴を丁寧に扱ってくれます。(申し訳ない)
個室は、漆のテーブル、日本画(季節、部屋ごとに異なるようです)、中庭のみえる窓、掘りごたつ、ストーブ、床暖房で暖かい。全席個室(部屋数6)の1日1回転。他の部屋の気配はまったく感じません。地球最後の日の前の晩のような静けさ。
部屋に入った際にお店の方から「どちらに座りますか?」との上座確認。この世に接待ではない客がいるのだろうか、という価値観と気遣い。
価格のわからないドリンクメニューをみながら、会計の方法(現金/カード)と領収書の宛名の確認。領収書は不要と伝えても丁寧な接客には変わりありません。自腹でこの店に来るなんて、と思ったのかどうかを聞いとけば良かった。
【先付】
あおやぎとわさびな
【肝焼き】
まったくくさみのない肝焼
【鯉こく】
極熱、味噌仕立、山椒強め
【白焼】
温めた皿にのせられた白焼をわさび醤油で頂きます。わさびの質がよい。
さっぱり食べられつつ、うなぎの風味もしっかりある。1度に5枚くらい食べられます。地球最後の日の前の晩に1枚3,500円くらいで食べたい。
【ふろふき大根】
熱い。
【蒲焼とごはんのセット】
店名どおり蒲焼が重箱で登場。うなぎは中くらいのサイズ、焦げめがほとんどなく、あまくないタレ、身はふっくら柔らかい。強めの山椒の香りがアクセント。
利害のあるひとと来たら「重箱のうなぎを、誰が、どう取り分けるのか」がメインイベントになるでしょう。
ごはんは蒲焼とは別に頂きます。うな重にしないのは、ごはんへのこだわりを感じます。ご飯が旨い。粒が大きく粘りけ多め。
お米の種類を聞いてみましたが教えてくれませんでした。ないしょ米です。
【デザート】
あずきとくりのアイスもなか。お茶と一緒に。
【名物!超熱いおしぼり】
2人で5万500円。神田きくかわの3倍くらいの満足度で5倍くらいの値段。伝統と立地とサービスとうなぎを含めたら納得の価格設定。これが1人1万ですんだら安すぎます。
重箱の白焼が食べたい、と言えば、自動的にコースを予約せざるを得ない。フルコースで食べたい、というより、重箱の白焼が食べたい、というのが女性の奥ゆかしさであり、
その図々しさを汲み取って提案するのがおじさんのいやらしさなんだと理解しました。
帰りぎわ「○○さん(予約したときの名前)、今日はありがとうございました」とお店のかた2人で見送ってくれます。
24年待った腹の出たおじさんにも敷居が高い店という感慨。赤坂駅から地下鉄で帰る庶民であることに罪悪感を感じたいひとにおススメです。うなぎもおいしいです。
運転手付の黒塗りの車に乗るひとはこのレビューのターゲットの対象外です。
おいしかった!